冤罪の脚本(短編小説)

古びたマンションの一室。電灯は点けられておらず、テレビの明かりだけがほの暗く部屋を照らしている。 初老の男がひとり、ワンカップの安酒を片手にじっとテレビをにらみつけていた。 男が見ているのはテレビショーだった。 「あの事 … 続きを読む

通貨戦争(短編小説)

走行距離数十万キロにもなるピックアップトラックのハンドルを握って、マイクは上機嫌でハイウェイを走っていた。 行く先はラスベガスだ。 先週ビンゴ大会で当てたサムスンの液晶テレビをネットオークションのイーベイで売りさばいて手 … 続きを読む

ハードパンチャー斉藤先生 体罰学園熱闘編(短編小説)

「愛なき拳はただの凶器! 貴様の腐った性根をたたっ斬る!」 そう叫んで、島津は竹刀をゆっくりと上段に構えた。薩摩示現流トンボの構えだ。 一方の斉藤は、相変わらずぼんやりとした表情で両腕をぶら下げたまま構えすらしない。 暫 … 続きを読む

軽犯罪法第1条4号(短編小説)

もう9月。そろそろ蝉の声も静かになってきた。青空には入道雲が沸き立っているけれど、朝の日差しはだいぶ手加減されていて、過ぎ去る夏を感じさせてくれる。 そんな穏やかな初秋の空気を金切り声が引き裂いた。 「ちょっと! “アレ … 続きを読む

もし高校野球のマネージャーがドラッカーだったら(短編小説)

自分が得意だと思っていることに、溺れるな。物事の”本質”を鋭く透察する心を持て ホワイトボードの前で熱弁をふるう白人の老紳士。 ユニフォームを着た野球部の面々が車座になって話に聞き入っている。 そ … 続きを読む

ただいまキセイチュウ2 田舎を出た男の話(短編小説)

「一緒に来れば天国を見せてやるよ」 いくらなんでも露骨過ぎたか、S子はおれの言葉を聞いて顔をしかめて後ずさりした。 まったく、こんなクソ田舎に住んでいると免疫がつかないのか、ちょっとした台詞にも過敏に反応するからやってら … 続きを読む

ただいまキセイチュウ1 田舎に残った男の話(短編小説)

お盆休み。 都会に出た友人たちが一斉に帰ってくるこの季節が好きだ。 懐かしい顔ぶれや、こちらではとても体験できない洗練された都会の話が好き……なわけじゃない。 仕事や人間関係、狭い部屋や排気ガスで汚れた空気に倦み疲れた顔 … 続きを読む

異業種交流会(短編小説)

異業種交流会の招待があったので、試しに参加を申し込んでみた。 仕事のため……ではなく、好みの女の子と知り合えたらいいなと思ったからだ。 だいたい、異業種交流会というのは半分飲み会で残りの半分は合コンみたいなものだ。そんな … 続きを読む