「いつかはゆかし」炎上に見るネットの評判を裏からコントロールしようという愚行


今日もインターネットは燃え上がっている。

アブラハム・プライベートバンクという投資顧問会社が扱う「いつかはゆかし」という長期積み立て型の海外投資ファンドの周辺で大火が上がっています。

1億円は貯められる。月5万円の積立で

とは、「いつかはゆかし」のコピーなのですが、なかなか魅力的ですね。私もくらっときました。

炎上の理由はこの商品に対するさまざまな疑問が根本にあるようなのですが、私は投資などさっぱりわからない素人ですのでこの商品の是非について云々はできません。

しかし、これだけの炎上を招かずに済む対処方法はいくらでもあったのではないかと、インターネット界隈でメシを食っている人間のひとりとして貴重なケーススタディと捉え、流れと反省をまとめておきたく思った次第。

前置きはこの辺にして、発端はこの記事だった模様。

富士経済調べの件について問い合わせてみた(高配当ETFで戦略的インデックス投資日記)

「いつかは ゆかし」が「積立したい商品」ランキングで第1位に選ばれました』というプレスリリースを受けて、疑問に思った筆者が富士経済に問い合わせたところ、

社内、社外と確認作業などを行い、
ご指摘いただきましたアブラハム・プライベートバンク様に対し、
弊社名の表記などの削除を要請し、対応頂くこととなりました。

という回答を得たというもの。

調査元の社名を公開する場合は事前チェックさせろとか、オプション料金追加とか、そういうのは普通にあるので、この回答を以って富士経済が関わっていないと断ずるのは早計です。というか、いくらなんでもまったく利用していない調査機関の名前を持ち出すとかさすがにありえないんじゃないかと思います。

プレスリリース時にチェックミスがあって富士経済の名前を削り忘れたとか、調査依頼時の条件の理解に齟齬があったんじゃないかなあとか想像するんですが、まあちょっと脇が甘かったですね。広報担当者はいまごろ大目玉を食らっていそうでかわいそうです。

そして「市況かぶ全力2階建」という人気ブログがこれをネタにした記事を書きます。しかし、その記事はアブラハムPBからの要請でブログの運営元に削除されてしまいました。

幸い、元記事のキャプチャを取っていた方がTwitterにそれを残されていたようなので、埋め込んでおきます。

そして記事が消されてしまった「市況かぶ全力2階建」はこんな記事を上げました。

17:30 市況かぶ全力2階建 削除要請による該当記事削除に関するお知らせ(市況かぶ全力2階建)

アブラハムPBとしてはまさか削除依頼の通知文面が晒されてネタにされてしまうなど夢にも思わなかったのでしょう。しかし、インターネッツの草分けである2ちゃんねるでは削除依頼をネタに盛り上がる(※)なんて日常茶飯事。そういうノリを知らなかったのは致命的でした。

(※2ちゃんねるでの削除依頼は「削除依頼板」に公開で行うそう。削除依頼したことないからよく知らない)

誹謗中傷に対し、法的根拠をちらつかせつつ削除を要請するのは一般的な企業でもごく普通に行われていると思うのですが、相手を見ずにやるとむしろ火傷を負いかねないという貴重な事例です。

悪いことは重なるというか、失敗は連続して起こしがちだというか、超人気ブロガーであり超一流のネットウォッチャーであるやまもといちろう氏がこの件に言及。

アブラハムPB「いつかはゆかし」の担当者が、市況かぶ全力2階建にエントリー削除要請(やまもといちろうBLOG)

ほんの小火だったはずなのに、ガソリンが注がれて大火事になってしまいました。一連の燃え上がりぶりは以下に詳しいです。

アブラハム・プライベートバンクによるブログ記事削除要請まとめ(toggetter)

ちなみに、記事によればやまもといちろう氏にもアブラハムPBからお手紙が送られていたようで、これも相手を見ずにやってしまったなあという印象。

この一連の展開から学べるのは、企業が裏からこっそり手を回して評判をコントロールしようとしていると思われてしまうと、あっという間に燃え上がってしまうということですね。

記憶に新しいところでは、ペニオクの芸能人ブログステマや、やや古いところでは食べログを舞台にしたステマ業者が徹底的に叩かれました。今回の件もそれに近い印象を与えてしまったことが大きな失敗だったと思います。

このブログだとかこのブログだとか、「いつかはゆかし」を絶賛しているブログが検索上位にたくさんあるので、サテライトサイトやステマブログの量産、2ちゃんねるで言及があると工作員を投入してDAT落ちさせたりといったテクニックを駆使する必要もなく、もともと「いつかはゆかし」のWeb上での評判は自然に高かったはずです。

しかし、おそらくこういうブログこんなブログが、他にもこのようなブログなどがほんの一部だけ検索低位に存在していることを気にして、今回の件はなるべく目立たないように処理したいと思ってしまったのでしょう。

その気持ちはわからなくはないのですが、その慎重さが裏目に出てしまったのが今回の炎上です。

一切後ろめたいことはないのでしょうから、初動の時点でプレスリリースなり、ソーシャルメディアの公式アカウントなりで正々堂々と反論・訂正をしていればこんな炎上は招かなかったのではないでしょうか。

いまからでも遅くないので、公開の場できちんと証拠を示して経緯を説明すればあっという間に鎮火できると思いますし、アブラハムPBさんにはがんばって挽回していただきたいところ。

だって月5万円の積立で1億円が貯められるなんて素敵じゃないですか。こんなすばらしい企業がくだらない炎上で傷つけられるなんてもったいないとしか言いようがありません。

私もぜひ「いつかはゆかし」に加入したいところなのですけれど、毎月5万円を捻出するには酒やタバコをやめなければ難しそうなので今回は見送ることにします。たいへん残念なんですが。


(2013/2/22追記)
やまもといちろう氏がアブラハムPBと交換日記を開始されたようです。
【謹告】アブラハム・プライベートバンク「いつかはゆかし」の池田慈生さま、質問へのお返事をください(やまもといちろうBLOG)


(2013/2/22追記)
関連記事を追加しました。
「いつかはゆかし」への悪質な評価、口コミ、評判まとめ


(2013/2/23追記)
やまもといちろう氏がマウントポジションを取ったようです。
アブラハム「いつかはゆかし」誇大広告の疑い(やまもといちろうBLOG)

たいへん活き活きしておられます。


(2013/2/26追記)
関連記事を追加しました。
アブラハムPBがもし仮に経営危機にあるとすればたいへん罪深いことをしている


(2013/3/4追記)
関連記事を追加しました。
「いつかはゆかし」炎上騒動を鎮火するたったひとつの冴えたやり方


(2013/3/5追記)
関連記事を追加しました。
「いつかはゆかし」のGoogle検索結果が変調をきたしている件


(2013/3/7追記)
関連記事を追加しました。
やまもといちろう氏の「アブラハムPB社「いつかはゆかし」に対する公開質問状」を要約・解説してみたら怖すぎて震えた件


(2013/3/14追記)
関連記事を追加しました。
「いつかはゆかし」擁護に現役FPブロガーが立ち上がった件


(2013/3/15追記)
関連記事を追加しました。
「いつかはゆかし」が積立したい商品ランキングで第1位(富士経済調べ)はやっぱり本当やったんや!


(2013/3/16追記)
関連記事を追加しました。
アブラハム「いつかはゆかし」よくある質問に虚偽記載の疑い


(2013/3/20追記)
関連記事を追加しました。
FACTA 4月号『「いつかはゆかし」の化けの皮』の感想


(2013/3/29追記)
関連記事を追加しました。
「いつかはゆかし」一大疑獄からの逆転の秘策

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「いつかはゆかし」炎上に見るネットの評判を裏からコントロールしようという愚行” への3件のコメント

  1. ピンバック: 「いつかはゆかし」のだいりって・・・ | バークレーLL.M留学記/若手弁護士のネタ帳

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