解雇規制の本当の弊害/ターゲットは高齢正社員なんかじゃない


こんな記事を読んだ。

ガマンするのは仕事じゃないよ。(デマこいてんじゃねえ!)

前半は老舗企業のベテラン社員がスキルに見合わない低い給与で働いているという事例を挙げて、日本の労働市場における硬直性を批判しています。そして後半は雇用流動性を高める政策としてしばしば挙げられる「解雇規制の緩和」は、むしろ雇用流動性を損う愚策ではないかという論旨です。

「雇用の流動性を高めること」と「解雇規制の緩和」は目的と手段の関係ではないので分けて語るべきだという指摘や、結びの「副業規定の廃止や、セーフティネットの整備」についてはなるほど納得できる提案なのですが、どうもひとつだけおかしいところがあります。

それは、

「解雇規制の緩和」を支持する人の論拠は、「生産性の低い (※主に高齢の)労働者を、規制のせいで解雇できないから」というものだ。

という一文です。

いやいや、解雇規制緩和論者はそんなことを主張しているわけではありません。(もちろん一部には老害がなんちゃらだとか叫ぶ人もいるでしょうが)

こういった印象がはびこるのは、定年延長や定年後再雇用の義務化の問題が「正社員の既得権益」として解雇規制の問題とワンセットで語られることが多いからなんでしょうね。

これらの政策は、高齢者福祉を企業に肩代わりさせようというものでありまして、これはこれで問題が多いと思うのですが、解雇規制の話とは切り離して考えるべき事柄です。

さて、改めて解雇規制の問題は何かという話ですが、主に3つが挙げられるでしょう。

1.倒産寸前まで解雇ができない
→瀕死になるまで解雇ができないため、むしろ傷を深くし、実際に倒産ともなれば余計に多くの失業者が生まれます。

2.非採算部門から撤退しにくい
→非採算部門を解散しても雇用を継続するためには、人員の再配置が必要です。例えばシャープが液晶テレビ事業から撤退した場合、いままでテレビを作っていた人員に空気清浄機や掃除機を作らせる必要がありますが、果たしてそれで撤退部門の人件費をまかなえるだけの生産性を向上できるでしょうか?

3.モンスター社員をクビにできない
→一度雇った人間はあまりクビにしたくありません。採用や教育にはコストがかかりますし、人材の定着度は多くの企業で人事査定に関わります。なによりクビにする側も人間なので、安易に解雇して恨まれたくなんてありません。しかし、それを踏まえてもどーしてもクビにしたくなるような人材が残念ながら存在するのです。しかし、それでも解雇できないのが現在の雇用規制です。

これらはそのまま「雇用しにくい理由」であり、企業から活力を奪っている原因ともいえます。

倒産寸前までクビが切れないとなれば、採用に慎重になるのは当然です。

また、人を雇わずに済むのなら残業や休日出勤で間に合わせたくもなるでしょう。

過度な解雇規制がブラック企業を生む温床ともなっているのです。

そんなわけで、解雇規制の緩和は雇用流動性を高める有効な手段だと考えます。

あと、少し話は変わりますが「試用期間」がぜんぜん試用になっていない現状もぜひ改めて欲しい。

お試しのはずなのに、企業側はよほどの理由がなければ雇用を拒めませんし、雇われた側も試用期間中に解雇されると職歴に傷がつきます。

どうせ面接や試験じゃ適正なんてろくに計れないんですから、企業側も労働者側も、「お試し就職」ができるとお互い気楽でいいんですがね。

面接が死ぬほど苦手だったので、過去2度の転職活動中には切実にこんなことを考えていたなあと思い出しました。

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