10人の村で日本の経済成長と失業と政治を考える


10人の村で経済成長と失業を考える」という記事の例え話が秀逸だったので、私もやってみることにしました。

リンク先の記事では一般論を取り上げていますが、ここでは日本経済をテーマに書いてみようと思います。

10人の村の話(日本経済ver)

最初は貧しい自給自足の農村です。10人がみな朝から晩まで田畑を耕して必死に飢えないように食べ物を作っています。ところがある日、村人のひとりが肥料を発明しました。この肥料を使うと安定してたくさん野菜や果物や穀物を作れることがわかったのです。イノベーションです。おかげで10人でやっていた野良仕事を5人でできるようになりました。そうすると残りの5人はどうなるかというと、失業してしまうのです。

しかし、この失業した5人は新しい仕事をみつけます。製造業です。おかげでこの村は農産物の他に家電製品も手に入れたのです。これが経済成長です。農産物だけだったGDPが農産物と家電製品に増加したのです。そのあと、農業ではさらにイノベーションが起きてふたりで十分まかなえるほど効率がよくなりました。

でも、ここで問題が起こります。農業に携わっていた5人は、失業を嫌がって農業に留まり続けたのです。しばらくはなんとかなっていたのですが、やがて周りの村でもイノベーションが起き、他の村でもっと安い農産物が売られるようになりました。そうして農産物の価格が下がる中、5人で縮小する市場を分け合うのですから当然どんどん儲からなくなり、貧しくなっていきます。

そこで彼らは村長に要望してたくさんの補助金をもらうようになりました。また、村人が他の村で農産物を買うのを制限したり、買ったものに税金をかけたりするようにもしました。どうして村長がそんなことをしたのかといえば、次回の村長選挙に勝つためです。逆に言えば、これを断れば落選は免れないでしょう。こうして村では、農産物の価格は高く、税金は農業を行う村人に手厚く分配されるようになりました。

成長を続けていた製造業もやがて壁にぶち当たります。技術で先行していたこの村ですが、周辺の村々も追いついてきて、ついには同じような製品をもっと安い価格で売り出したのです。製造業に携わる5人は、やはり失業を嫌がり製造業に留まろうとしました。それを見た村長は、またしても補助金やエコポイントをばらまいて人気取りをしたのです。

農業にも製造業にもお金をばらまくのですから、もうかなり以前から村の財政は大赤字です。村人から借金をしてなんとか自転車操業を続けているのですが、当の村人がどんどん貧乏になっているので、いつかは他の村からも借金をしなくてはもたないでしょう。じり貧なのはわかっていますが、これをしないと次回の村長選挙で落選してしまうのでやめられません。

なんとかしなくては村長が考え込んでいると、2人の村人が目にとまりました。かつては5人ずつだった農業と製造業ですが、さすがに市場の流れには抗しきれず、ひとりずつ失業者を出していました。2人はその失業した村人だったのです。2人はイノベーションを起こせず、新たな仕事を見つけられていません。村からの施しでなんとか食べている状況でした。

村長はその2人を捕まえて厳しく叱責しました。「働かざるもの食うべからず」「仕事が見つからないなんてえり好みしてるからじゃないか」「甘えだ、自己責任だ」そして最後に言い添えます。「毎月渡してた生活保護費や失業手当だけど、来月からカットね」

失業した2人の村人は絶望しましたが、他の8人は喝采しました。8人は一生懸命働いてもよくならない暮らし向きにフラストレーションをすっかりため込んでいて、村の施しで食べている2人が憎らしくてたまらなかったのです。人気はうなぎのぼりで、しかも支出も多少は抑えられます。村長は狙い通りだとほくそ笑みました。

村にはすっかり「失業したらもう食べていけない」という空気が蔓延しています。これではますますイノベーションが進まないのですが、村長の頭には次回の選挙のことしかありませんし、村人は目の前の暮らしで精一杯。他の村の成長を横目に、問題の先送りを続けるのでした。

※産業人口などを考慮するとキリがないので、人数は適当です。あしからず。

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