要注意! ブログやソーシャルメディアでやってしまいがちな著作権侵害5パターンと基礎知識

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ITジャーナリストとして著名な佐々木俊尚氏(@sasakitoshinao)が共同編集長を務めるTABI LABO(旅ラボ)が、海外メディアの記事を丸パクリした記事をアップしていたとして炎上しています。

旅ラボが謝罪コメントを出すも燃料投下でさらに炎上 – Hagex-day info
TABI-LABOは何を言っているの: やまもといちろうBLOG(ブログ)

刺したのは著名ネットウォッチャーのHagex氏と、ネットで喧嘩をさせたら右に出るものはいないと言われるやまもといちろう氏。この2人に目をつけられたら回線を切って旅に出るしかないじゃないかと、他人ごとながら背筋が寒くなります。

さて、それはそうとインターネットが普及し、さまざまな情報がデジタル化されたおかげで便利になった反面、著作物が簡単にコピーできてしまう世の中になりました。一昔前であれば、文章や写真のコピーなんてかったるくてやっていられませんでしたが、いまではコピー&ペーストで一瞬にして劣化のない転載ができてしまいます。

プロでもアマでもパクられるリスクが常にある……のも気に留めておきたいことですが、他方で、ほとんど意識せずに著作権侵害をしてしまうケースも後を絶ちません。たとえば、書評記事に書籍の表紙を載せたら著作権侵害のおそれがあることをご存知でしょうか。ちなみに、私は以下の記事を読むまで知りませんでした。

書籍表紙画像のブログ引用は著作権侵害の可能性あるってよ(アフィリエイト除く)禁煙872日目・今日のはてブ。 – 団劇スデメキルヤ伝外超

本文には本文の、表紙絵には表紙絵の著作権者がそれぞれ別に存在しています。そのため、本文のみに言及をして、表紙の絵について何も触れない状態で表紙を掲載すると「批評のための引用」ではなくなり、著作権侵害となってしまい得るというわけです。なるほど……。

なお、amazonや楽天などが提供しているアフィリエイトサービスを使った画像の表示はとくに問題とはなりません。なぜなら、amazonや楽天が著作権者から許諾を得ているためです。また、実際書評で著作権侵害を咎められるケースはほとんど考えにくいと思われます。著作権法違反は親告罪のため、著作権者が問題とみなして訴えない限り適用されません。ですので、著作の宣伝となる書評をつかまえて訴える可能性は低いです。

とはいえ、いつどこで著作権侵害に問われるかわからないのでは心臓に悪いですよね。そこで、本稿では著作権についての基礎知識に加えて、ブログやTwitter、Facebookなどのソーシャルメディアでやってしまいがちな著作権侵害を、5つのパターンに分けて紹介しようと思います。

著作権の基礎知識

著作権侵害とは

そもそも著作権って何なのでしょうか。厳密な説明は法律家でもない私の手に余りますし、わかりにくいと思われますので、ざっくりひと言でまとめちゃいます。

著作権とは「人が作ったオリジナルなものすべてに発生する権利」です。

幼稚園児が書いたクレヨン画にも、女子中学生がノートに綴ったポエムにも、使い捨てカメラで撮った写真にだって著作権は存在しています。

そして、著作権侵害とはそうして作られた著作物を本人の許可なく、勝手に利用してしまうことを指します。

著作権法違反の罰則

もし著作権法違反で有罪となったらどんなペナルティがあるの、というお話です。

まずは刑事罰の方から。Wikipediaより引用します。太字は筆者による編集です。

著作権を故意に侵害した者は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処せられる(懲役と罰金が併科されることもある)(119条)。
また、法人の代表者、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、行為者のほか、当該法人も3億円以下の罰金に処せられる(両罰規定)(124条)。

引用元:著作権侵害 – Wikipedia

お、重い。相当悪質でなければ重罰が課されることはないと思うものの、最大ではこれだけの刑罰が課されるのだということを意識しておきたいですね。

次に民事の場合ですが、これはケースバイケースです。勝手に転載されたことで失われた収益や、無断転載によって不当に得ていた収益を算出し、それに慰謝料などを加えて請求されるのでしょう。

いやー、著作権法違反って極めてリスキーですね……。

正当な引用とは

では、他者の著作物はすべて利用不可なのかといえば、そんなことはありません。批評や報道などのために必要な引用は認められています。正当な引用と認められるための要件は、主に以下の4点です。

  1. 引用に必然性があること
  2. 本文が主で、引用箇所がサブであること
  3. 引用箇所がどこなのかはっきりしていること
  4. 引用元がどこかはっきり示すこと

1.引用に必然性があること

例えば、「水からの伝言」や「EM菌が放射能を消す」「明治政府による江戸っ子大虐殺」みたいなデマが流れていた場合、その言説のどこが間違っているのか示す必要がありますよね。むしろ、引用ができなければ批判自体が難しい。こうした場合は正当な引用として認められます。

よく誤解をされているのは、そうした必然性のある批判であっても画像の引用は許されないというもの。しかし、文章よりは成立条件が厳しいようですが、画像であっても必然性が認められれば引用は可能です。このへんは難しいので私見は控えますが、詳しく知りたい方は以下のリンク先が参考になるかと思います。

脱ゴーマニズム宣言事件 – Wikipedia

2.本文が主で、引用箇所がサブであること

Tumblrなどでよく見かけますが、ブログや新聞記事をコピーしてひと言だけコメントが添えてあるようなものはダメってことです。Tumblrが日本の著作権法に縛られるのかは寡聞にしてわかりかねるのですが、やめておいた方が無難でしょうね……。

引用はあくまで本論を成り立たせる上で必要な場合でしか認められません。一言の感想であればリンクに添えればよいわけで、正当な引用と認められる可能性は低いでしょう。

3.引用箇所がどこなのかはっきりしていること

最近流行りのバイラルメディアやキュレーションメディア(まとめサイト)でちらほら見かけますが、本文や画像を散々転載した上で、文末にわかりづらーく引用元が示してあったりします。二重の意味で完全にアウトです。

引用箇所はカギカッコや引用タグ(blockquote)で囲い、誰が見ても引用箇所がどこなのかはっきりわかるようにしましょう。

4.引用元がどこかはっきり示すこと

さきほどバイラルメディアの例で「二重の意味で完全にアウト」と書きましたが、もうひとつの理由がこれです。

小さい文字サイズで、背景に溶けこむような色で「via 引用元」みたいに書くのはルール違反。メディア運営側としてはユーザーの流出を避けたいのでしょうが、オリジナルの著作権者へのレスペクトがまったく見えない態度でユーザーとしても心象が悪い。

よく悪質なバイラルメディアが「埋もれている良質なコンテンツを世間に広めるんだー!」と大義を掲げていますけれども、こんなことをしているメディアにそんな理念があるとは到底信じられません。

やってしまいがちな著作権侵害

繰り返しになりますが、コピペが極めて簡単になったおかげで著作権法違反になる行為のハードルがものすごく下がっています。誇張ではなく、ソーシャルメディアやブログなどで著作権侵害を見かけない日はゼロです。

しかし、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」は通用しません。「みんなやってるし」と油断をしているといつどこで落とし穴にハマるかわかったものではありませんので、自分の身を守るためにもやってしまいがちなカジュアル著作権侵害をおぼえておくとよいと思います。

  1. 漫画の一コマをアイキャッチで使う
  2. お気に入りの画像やイラストをアイコンに使う
  3. 面白かったフレーズをTwitterに投稿する
  4. 海外記事を翻訳・意訳する
  5. 芸能人の写真をアップする

1.漫画の一コマをアイキャッチで使う

これ、ものすごく見かけますね。もはや定番のネタと言ってもよいと思います。ブログなどでアクセント代わりに漫画の一コマが使われているケースをよく見かけますけれど、もし訴訟費用がいまよりぐっと低額化したら食い詰めた漫画家や出版社の格好の収入源になるんじゃないかなってひやひやしながら見ています。

また、TPPが批准されたら著作権法違反が非親告罪化する可能性もあるわけで……。

あと、当ブログでも取り上げましたがnanapi社長のけんすう氏が炎上したこともあります。刺されれば反撃できない急所になりますので、普段からやらない方がよろしいんではないかなと。

2.お気に入りの画像やイラストをアイコンに使う

Twitterでよく見かけますね。アニメや漫画、ジャニーズやアイドルなどなど…。

人気のバロメーターだと思って権利者は放置しているのだと思うのですが、訴えられれば負けることはやめておいた方がいいと思うですよ。リスク管理だいじ、超だいじ。

3.面白かったフレーズをTwitterに投稿する

パクツイ、人気Tweetのパクりも横行しているらしいですね。何が楽しいんだか1ミリたりとも理解できませんが、やめましょう。たとえ140文字以下の短文であっても著作権は発生し得ます。5・7・5の俳句にも著作権があることを考えれば当然ですね。

4.海外記事を翻訳・意訳する

これまた頻繁に見かけます。やっている人は知っててやっているんじゃないかと思うんですが……。

翻訳をした場合でも、著作権は原語での著作権者に残ります。翻訳した記事を勝手に転載した場合は、翻訳権違反です。これを許してしまったら、いわゆる海賊版がいくらでも出版し放題ですよね。

それなら訳者の意図や新たなアレンジを加えた意訳であればどうかというと、この場合は翻訳権に加えて翻案権、同一性保持権の侵害となるため二翻アップの満貫です。余計にアウトになります。

翻案権というのはオリジナルを元に改作する権利、同一性保持権というのは勝手な改変を許さない権利のことを指します。オリジナルを許可なくいじくってしまうと、この両方を同時に侵すことになるので、余計に具合が悪いのです。

※翻訳・意訳がすべてダメなわけではなく、正当な引用の要件を満たしていれば問題ありません。

5.芸能人の写真をアップする

正確には著作権法違反ではなく、肖像権やプライバシー権の侵害なんですが。ちょくちょくお忍びできた芸能人をアルバイトが晒して燃え上がったりしていますね。

顔や姿自体に商品価値がある有名人の写真を、勝手に撮って勝手に使うのはNGなのでございます、というのが肖像権。いろいろ難しい議論があるようなのですが、一般人には認められないみたいですね、この権利。

しかし、一般人にもプライバシー権が認められていますので、個人が特定できる写真を許可を得ずにネットに挙げるのはやめましょう。私もよく酔っ払って眠り込んだ写真をFacebookに上げられるので、いつか有名になったら莫大な賠償金を請求してやろうと思っています。すみません、冗談です。いつも酔っぱらいに付き合っていただきありがとうございます。ごめんなさいごめんなさい。

むすびに

気がついたらずいぶんな長さになっちゃいました。著作権って面倒くさいですね…。

日本であれこれややこしくなっているのは親告罪であるために運用が著作権者の恣意によりすぎているところがあるせいだと個人的には思っております。こっちは宣伝になるからOKで、あっちは低評価だからNG、みたいな。

非親告罪化して、「こういう使い方はOK」「そういう使い方はNG」と一律に線引した方がよいと思うんですが、いかがでしょう。いわゆるフェアユースの概念も導入して欲しいです。

そうなれば、著作権者側も「ここからここまでは転載OKですよ」と基準を示してくれるでしょうし、いろいろ捗ると思うんですよね。

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要注意! ブログやソーシャルメディアでやってしまいがちな著作権侵害5パターンと基礎知識” への3件のコメント

  1. 趣旨には賛成というか,著作権についてわかりやすく解説していただいたものと思いますが,
    「親告罪」かどうかっていうのは,本質的な問題に思えません。
    (イケダハヤト氏も,これに引きずられたのか?親告罪だからどうしたとか言っていますが)
    親告罪はあくまで刑罰に関しての話で,許諾を得ないで著作物を使用した場合,例外に当てはまらない限り,すでに著作権の侵害状態は生じております。
    たんにその状態を,追認して,著作権者が後から許諾を与える場合があるというだけだと思います。
    「刑罰が与えられるか否か」と「著作権侵害が生じているか否か」の問題を混同されているように感じますが・・・・。

    • コメントありがとうございます。
      記事には書かなかったことになりますが、「侵害された側の対応コストが見合わないため、多くの著作権侵害がしぶしぶ放置されている」という現状に”も”問題を感じている次第です。
      そのため、「親告罪なんだから本人以外口出しすんなよ!」と居直る者が後を絶たないのではと。

      > 「刑罰が与えられるか否か」と「著作権侵害が生じているか否か」の問題を混同されている
      と感じさせてしまったのなら、私の筆力の不足です。ご指摘ありがとうございました。

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