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WEBコンサルタント『サーチサポーター』の代表、敷田憲司です。
先週、Googleの公共政策部より「インターネットの日本経済への貢献に関する調査分析」が発表されました。
「インターネットの日本経済への貢献に関する調査分析」を発表しました | Google Japan 公式ブログ
その数日前には日本政府がGoogleの市場独占に歯止めをかけるべく、「対Google戦略を策定している」ことがニュースで報じられたばかりで、この発表がその後すぐのタイミングでの発表であったことから、政府の打倒Googleに対するカウンターであろうとも言われました。
政府が対グーグル戦略策定へ…市場独占に歯止め | 読売オンライン
今回のGoogleの調査分析は、スマートフォンの台頭から生まれたビジネス領域「アプリ経済」について同領域の日本経済への貢献についての分析がなされています。
これを紐解きながら、現在Googleが推し進めているモバイルフレンドリーについても触れて、今後について考えてみます。
スマートフォン市場は伸張していることは確か
- 2013 年度における日本のアプリ経済の市場規模は約 8,200 億円。
- 2014 年時点で 56.5 万人分の雇用を生み出している。
- 2011 ~ 2013 年度にかけて、年平均成長率 90% という高い数値を示した。
今回の元となった野村総合研究所の報告書を見ると、スマートフォン市場としての「アプリ経済」は、かなり伸張しているようです。
インターネットの日本経済への貢献に関する調査研究(2014年度) | 野村総合研究所
そもそもスマートフォンが台頭してきたのはここ数年であることを考えると、8,200億円の市場規模や、56.5万人分の雇用を生み出していることも妥当な数字だと頷けます。
(※ この数字は「アプリ経済」においての数字であり、「インターネット経済」全体での数字ではありません。誤認しないよう注意してください。)
今でこそ年平均成長率90%という高い数値でありますが、今後は「スマートフォンがほぼ全ての人に行き渡り、アプリ市場の成長が鈍化した時」のことを重点に考えておかねばならないと個人的に思います。
(既にそうなっているといっても過言ではありませんね。)
Googleが推し進めているモバイルフレンドリーについて
ここで現在、Googleが推し進めているモバイルフレンドリーについて触れておきます。
検索結果をもっとモバイル フレンドリーに | Googleウェブマスター向け公式ブログ
つい先日、Googleは4月21日よりウェブサイトがモバイルフレンドリーかどうかをモバイル検索のランキング要素として使用すること、即ち、サイト(ブログ)がスマホ対応しているかどうかをモバイル検索の評価要因にすることを公式に発表しました。
既にモバイル検索結果には「スマホ対応」というラベルが表示されており、スマホ対応をしていないサイトにはウェブマスターツール経由でその旨を伝えるメッセージが送られていました。
ただ、これはあくまで「あなたのサイトはまだスマホ対応を行っていませんよ」ということを伝えるため「だけ」のメッセージであり、今はまだモバイル検索の評価に影響を与えませんでした。
ですが、4月21日からはモバイル検索の評価に影響を与えることになり、スマホ対応をしていないサイトはモバイル検索で検索順位が落ちることに繋がると言われています。
さらにGoogleは、App Indexingを検索評価に設定しました。
App Indexing (アプリインデクシング)とは、アプリとウェブページの紐づけを行うことにより、スマホ利用者がGoogleの検索結果のリンクをタップしたときに、直接コンテンツをインストール済みのアプリから開けるようになる設定のことです。
ちょっとわかりづらいですが、例えば、食べログのスマホアプリをインストールしているユーザーが、検索結果に表示された食べログの「A中華飯店」リンクをタップしたとします。
すると、そのまま食べログアプリが立ち上がって、アプリ上で「A中華飯店」のページを開いてくれるのです。
これまで、App Indexingは検索順位に影響を及ぼしていませんでした。
しかし、今後はアプリをインストールしているユーザーがスマホ検索をしたときには、対応するWebページが上位に表示されてしまうことになります。
ポータルサイトやニュースサイトのアプリをインストールしている方は多いでしょうから、既に検索結果にはかなりの変化が生じているのではないでしょうか?
(それにしても、ローカライズやパーソナライズに続いてこのアルゴリズム… 順位計測がやりづらくて、ホントSEO屋泣かせです^^;)
これらのことから、Googleは今までよりもさらにスマートフォンを重視していることが分かりますし、今回の調査分析はそれを裏付ける、根拠となりえる資料であると言えるでしょう。
また、肝心のモバイルフレンドリーへの対応(スマホ対応)については、下記の記事(外部サイト)にまとめられた情報が掲載されていますので、一読をおすすめします。
モバイルフレンドリーテストツールやGoogleウェブマスターツールを使ってのチェック方法も書かれていますので、スマホ対応を行ったら是非チェックしてみてください。
スマホ対応(モバイルフレンドリー)に関する情報まとめ【Google】 サイトスピード?appindex? | ブレインネットプレス
インターネット産業としてはどうか
話を調査分析に戻します。
「アプリ経済」は伸張していることは分かりましたが、全体の「インターネット産業」としてはどうでしょうか。
もちろん、インターネット産業としても伸張しています。
インターネット産業単体での分析に加え、他産業への貢献においては、クラウドサービス等、インターネットを利用した企業で、約 9 兆円にあたる生産性の向上を達成するとともに、店舗での消費の約 22 %にインターネット経由の情報収集が寄与していることがわかりました。日本経済全体の成長には、その産業規模や成長性に限らず、インターネットの活用が不可欠であることが分かります。
クラウドサービスというと、DropboxやChartworkなどが思い浮かぶのではないでしょうか。
今や多くの人が使っているGmail。これも立派なクラウドサービスです。
インターネット黎明期と違い、インフラの整備と通信コストの低下によって今や「常時オンライン」が普通となりつつあります。
それに伴いクラウドサービスも種類の増加、質の向上によって生産性が向上していますので、インターネットを利用している産業が成長していることは納得出来る話です。
また、デバイスの主流がPCからスマートフォンに変わりつつあるということは、しっかりと認識しておくべきですね。
(通信手段でさえも電話からメール、そして今やSNSを介してリアルタイムでやりとりをする時代です。)
伸びている産業があれば、縮んでいる産業もある?
インターネットによって消え去る仕事
その一方で、(今回の調査結果には掲載されていませんが)インターネットが普及したために産業として窮地に追い込まれているもの、仕事、雇用としても奪われるものあるでしょう。
人口減少によって単純に顧客数が減る分野はもちろん、インターネットによって技術の向上や情報の流動促進で利便性が上がる分野においては、特に顕著であると考えられます。
特に「会計事務員」、「商品販売外交員」などは既にそうなっていると実感しています。
(クラウドの会計システムやECサイトはどんどん身近なものになって来ていますよね。)
※ 参考:2030年 あなたの仕事がなくなる | 東洋経済オンライン
今回の調査結果から今後のSEO対策を考える
最後に、今回の調査から今後のSEO対策を考えてみます。
先ず言えることはスマートフォンの普及に伴い、ユーザビリティだけでなくSEOの観点からもスマートフォン対応が避けられない状況であるということです。
また、スマートフォンなどの携帯デバイスが増えるということは、検索を行った場所(位置情報)で検索評価が変わるローカルSEOも重要になってくると言えます。
そして、携帯デバイスが増えることで、検索がキーボード入力ではなく音声入力が増え、引いては口語の検索ワードが増えることが予想されます。
ですが、例え検索デバイスや検索場所、検索方法が変わろうとも、大切なのは「良質なコンテンツを提供すること」「ユーザーに有益な情報を提供すること」です。
時代に合わせてSEOの施策が変わろうとも、この根本的な考え方だけは普遍なのです。