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WEBコンサルタント『サーチサポーター』の代表、敷田憲司です。
今回はWEBマーケティングに欠かせないオウンドメディアについてお話いたします。
オウンドメディアとは、自社メディア(自らが所有するメディア)のことを言います。
企業が消費者に向けて情報を発信するメディアであり、自社発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社サイトのことです (特に今回はこの「自社サイト」に限定して説明していきます)。
オウンドメディアを開設し、運営するメリットは見込み客、ファンの獲得に繋がることと、自然リンク獲得によりドメインの地力がアップすることです。
例えば、商品に興味がなくても、コンテンツに興味のあるユーザーは世の中に多く存在します。
また、商品を購入するユーザーと、ソーシャルで拡散したり、個人ブログなどで言及する(リンクを貼る)ユーザーは一致しない、同一ではないことが多いものです。
そのため、売上に直結するページ(セリングページ)と、言及やリンクに直結するページ(リンクベイトコンテンツ)を分けてコンテンツを制作する施策、すなわちオウンドメディアがSEOにおいて注目を集めているのです。
リンクベイトコンテンツの考え方については、京都のSEO会社ウェブライダーの松尾さんが公開されているスライドが詳しいのでよかったら参考になさってください。62ページ目から解説されています。
さて、今回はそんなオウンドメディアの活用事例や、運用上の注意点などについてご紹介します。
<オウンドメディア構築にあたっての考え方と具体事例>
ここではオウンドメディアを構築、運用するにあたっての考え方について説明します。
1.お役立ち情報(コンテンツ)を増やす
オウンドメディアのキモ、それはコンテンツです。
しかし、コンテンツはただ闇雲に増やせばよいというわけではありません。
あくまでユーザーにとって役に立つ情報を提供することが大切です。
例1.商品の詳しいレビューを提供する
カラコンレビュー|カラコン通販【Mew contact】byフリュー
カラーコンタクトを実際に装用している様子をブログ風の記事で紹介しているオウンドメディアです。
コンタクトレンズは大切な瞳につけるもの。実際に装用した人の詳しいレビューはユーザーにとって価値の高いコンテンツと言えるでしょう。
このように、商品の詳しいレビューでコンテンツを制作していくのも一手です。(商材によってはリンクベイトが難しいものもありますが)
例2.本業のターゲットが望んでいる周辺情報を提供する
ビジネスTips|board – 請求書、見積書、発注書作成発行・クラウド経営管理
boardは見積書・請求書発行を効率化する業務クラウドシステムです。
ターゲットユーザーは中小企業の経営者や、バックオフィス担当者になります。
このboardのオウンドメディアでは、自社サービスの紹介や見積書・請求書等についての知識などに留まらず、ビジネス一般に役立つ情報を発信しています。
これには2つのメリットがあります。
・より広い読者層にリーチでき、被リンク獲得の機会が増す
・テーマを拡げることでネタ切れを防止できる
自社のサービスがニッチに属するのなら、オウンドメディアを構築するときはこのようにテーマを拡げてあげるとよいでしょう。
2.外部ブログサービスでオウンドメディアを作るメリットは?
オウンドメディアを構築する際は、本サイトと同一ドメインにすることが望ましいです。
別のドメインで運用してしまうと、獲得した自然リンクの恩恵がドメインに蓄積されず、せっかくのオウンドメディアの効用が失われてしまいます。
とはいえ、開発リソースの都合などで実装が難しいケースもあるでしょう。
苦肉の策ではありますが、そんなときには外部ブログサービスを使用して開発なしでオウンドメディアを作るというのも一手です。
ここでは、そんなときに使える代表的なブログサービスを3つほどご紹介します。
1.アメブロ
ブログサービスとして一番有名と言ってもよいブログです。多くの芸能人が使っているブログサービスでもあります。ユーザー数も多く、初心者でも使い勝手がよいインターフェースになっています。ただし、独自ドメインが使えないため、オウンドメディアとしての運用には向きません。
2.はてなブログ
他のブログサービスに比べて、IT、WEB関連に興味のあるユーザーが多い傾向です。同じはてなが提供しているサービス(はてなブックマークなど)との連携が売りとなっています。有料版もあり、独自ドメインでの運用も出来ます。
3.ライブドアブログ
こちらもユーザー数も多く、初心者でも使い勝手がよいインターフェースになっています。つい最近(5/1)、ドメインの移管や、広告非表示の機能が完全に無料となりました。
・外部ブログサービスを使う場合は期間限定&独自ドメインで
上記のような外部プラットフォームのブログサービスはすぐに運用できるという手軽さがメリットである反面、データ容量に制限があったり、カスタマイズに限界があるなどのデメリットも多数あります。
はじめのうちはよくても、運用しているとやがて行き詰まりを感じてくるはずです。外部プラットフォームを利用するのであれば、「期間を区切る」ことがよいでしょう。
また、外部ブログを使用する場合でも、必ず独自ドメインで運用してください。
独自ドメインで運用をしておけば、後に本サイトに統合する場合にも、リダイレクトをしてページの評価を引き継ぐことができます。
3.拡散しやすい環境を整える(SNSの利用)
せっかく時間も手間もかけてよいコンテンツを作っても、誰からも見られないのでは意味がありません。
適切なSEO施策を打つことはもちろんですが、今はソーシャルでの拡散が重要であり、必須であると言えるでしょう。
このコラムを見ていただけば分かるように、ソーシャルでシェアをしやすいように、文頭と文末にソーシャルボタンを設置しています。
ユーザーの利便性からも、「使いやすい仕組み」にすることはオウンドメディアに限らず、大事な考え方です。
また、更新時に情報を受け取れるRSS登録やメールマガジン、Facebookページ、Twitterなどをうまく利用して、リピーターを増やしていきましょう。
(リピーターを増やすのはオウンドメディアに限らず、商売の鉄則ですね。)
4.記事の有効運用(リンクを貼る)
オウンドメディアを運用していると、バズる(ネット上で話題になる)ことがあります。
そんなときほど関連しているコンテンツのリンクを貼る(関連している記事を紹介する)ようにしましょう。
関連するテーマ同士のページでリンクを貼ることで、内部リンクを強化しお互いのページの評価を高められますし、ユーザーが回遊しやすくすると直帰率や滞在時間も改善できます。
例.商品とモデルの紹介でお互いのページの価値を高める
商品の紹介はもちろん、モデルのブログを紹介することでユーザーの興味を損ねることなく、かつ、ユーザーの欲しいと思われる情報を提供しています。
商品の情報だけでなく、その周りの情報を提供することもオウンドメディアの大切な役割です。
<検索キーワードも意識したコンテンツ作りを>
コンテンツを闇雲に増やせばよいというわけではないことはすでに説明した通りです。
オウンドメディアのコンテンツを考える際には、ターゲットユーザーの興味関心を押さえ、彼らが検索しそうなキーワードを想像することが重要です。
5.コンバージョンキーワードがはっきりしない分野
コンバージョンキーワードが明確でない商材を扱う場合、boardの事例のように「ターゲットユーザーの興味関心」軸でキーワードを選定するとよいでしょう。
例えばクラウド会計ソフトのfreeeは、経営ハッカーというオウンドメディアを運用しており、多くの関連コンテンツをお役立ち情報を掲載しています。
提供しているサービスの説明ではなく、確定申告や仕事の効率化の話題を掲載することで、ターゲットとしている個人事業主や中小企業の経営者に認知させることを狙っていると思われます。
少し毛色が違いますが、オフィス用品通販のカウネットが運営する総務の森の狙いも直接のコンバージョン狙いではなく、ターゲットユーザーの囲い込みを目指している点でオウンドメディア的な発想だと言えそうです。
6.コンバージョンキーワードがはっきりしている分野
インターネット通販のようにコンバージョンキーワードがはっきりしている分野では、オウンドメディアのコンテンツでもそれらのキーワードは押さえておきたいところです。
例えば前述したワンダーウェルトというゴスロリメディアの場合は、「かわいい」「おもしろ」などの形容詞や、「アイテム名」などの指名ワードでの検索も多いため、それに見合ったコンテンツを作成、提供しています。
それらのコンテンツから本命である商品ページへリンクを張ることで、オウンドメディアで得た検索エンジンからの評価を商品ページにも与えることができます。
7.検索結果がほぼニュース記事であるキーワードの場合
検索キーワードの中には、検索結果がほぼブログ記事やニュースで占められてしまうものがあります。
そのようなキーワードに対し、普通のセリングページで上位化を狙うのは困難です。
そんなときには、オウンドメディアでブログ風のコンテンツを制作し、上位入りを狙うのが効果的です。
例.キーワード「フリーランス」で検索した場合
検索結果を見ると分かるように、ほぼブログ記事やニュース記事で占められています。
しかし、じつはこの中にもオウンドメディアのコンテンツが混ざっているんです。
【保存版】 フリーランスとして生きるなら知っておくべき20の記事とツール|フリーエンジニア、フリーランス向けのお役立ち情報
この記事は、ITエンジニア向け案件情報サイトのA-STARが運用するオウンドメディアに掲載されたものです。
このように、セリングページでは狙うことが難しいキーワードでの上位化にもオウンドメディアは威力を発揮します。
より詳しい記事の書き方や、書いた後の検索順位の上げ方は以下の記事で紹介しています。
詳細を知りたい方はぜひご覧ください。
SEO対策でやるべきことはたった4つだけ!アップデートで単純明快になった【2015年最新版、随時更新】
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8.リマーケティングの利用
リマーケティングとは、自社のサイトを訪れたことのある人に限定して、再訪を促すような広告を配信することです。
自社のオウンドメディアに一度でも来たことのある人は関心の高い層である可能性が高いため、商品の購入、サービスの申し込みなどのコンバージョンに結びつく効果が見込めます。
Facebook、Google、YDNなどのタグを設置することで実現出来ますので、忘れずに設置しましょう。
但し、やりすぎると「しつこい」と思われて、かえって敬遠される危険性もあります。
タグを設置するページは適度(全てのページにタグを設置するのではなく、「ユーザーのモチベーションを上げるページ」)に限定することがよいでしょう。
まとめ
上記の全てに共通することですが、オウンドメディアで掲載する記事は、その記事単体で一気にコンバージョンまでには結びつきにくいものです。
(そもそもオウンドメディアはコンバージョンのために最適化されたページではないからです。)
それでもオウンドメディアを運用することがよい理由は、ユーザーに有用な情報を長期間提供することで信頼を得ること、それに伴い自身のサイトのブランド力を高めることで、将来的には永続的にリピーターとなるお客様を獲得することに繋がるからです。
オウンドメディアとは見込み客、ファンを獲得し、そのユーザーを育てていくメディアであると考えるとよいでしょう。